定点撮影
北里大学教養図書館閲覧ニュース106号(2010年4月1日発行)掲載

表紙の写真は,一般教育部L1号館南側玄関前のイチョウ並木を定点撮影したものです.初夏には緑色の葉を茂らせた並木が,秋が深まるとともに黄色く色を変え,冬には散ります.みなさんがこの閲覧ニュースをご覧になる頃,イチョウ並木の木々には再び緑色の葉が茂っていることでしょう.

四季のある国に暮らす私たちは,一年間を豊かな色彩の変化に囲まれながら過ごしています.私たちの毎日を彩る色彩の多くは,自然界が創りあげてきた様々な有機化合物によってもたらされるものです.植物の葉が示す緑色は,クロロフィルと呼ばれる緑色化合物によるものです.イチョウの葉もクロロフィルをもっており,初夏から夏の終わりにかけては緑色の葉を茂らせています.

さて,イチョウの葉にはクロロフィルの他に,ルテインと呼ばれる黄色い化合物も含まれています.夏が終わる頃までは,黄色いルテインよりも緑色のクロロフィルの方が多量に葉に含まれているため,イチョウの葉は緑色に見えます.しかし,秋が深まるとイチョウはクロロフィルをつくらなくなり,クロロフィルは葉の中で分解されはじめます.こうして緑色の色素が失われて行くと,相対的にルテインの黄色が目立ち始め,冬が近づくに従って葉の色が緑から黄色に変わって行きます.イチョウ並木で毎年繰り返されている化学マジックです.

みなさんが学生生活をスタートさせる相模原キャンパスの敷地内には,学生生活を彩る様々な植物が植えられています.新入生のみなさんも,大学生活新年度のスタートにあわせて,キャンパス内のどこかで定点撮影をはじめてみてはいかがでしょうか.携帯電話のカメラ機能でも十分です.キャンパスライフを彩る四季の移り変わりを記録してみませんか.

なお,筆者は相模原キャンパス内で何か所かの定点撮影を続けています.イチョウ並木の他に,この秋に取り壊わされる予定のL1号館中庭の四季などの撮影を通して,一年間の色彩の移り変わりを楽しんでいます.定点撮影写真は筆者のウェブサイトでご覧いただけます.http://www.takahiko.info/

(自然科学教育センター・化学)



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定点撮影した写真をつなげてムービーにしました↓



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